*** LP ： USA / 71 / Columbia / BL 30988 ***
■　コンディション　■
B / A-
RW ; ジャケット表裏にリングウエアがあります（表のリングエアは薄らとしたもので幻想的なイラストを大きく損なってはいません）。
DJ ; 裏ジャケット左上に2cm×6cmほどの「For Promotional Only」と金色で刻印されています。
盤面にはひげはないのですが、薄い紙擦れがあるので「A-」にしました（聴いた限り気になるノイズは拾いませんでした）。

ギリシア出身のジミー・スフィーリスはジャクソン・ブラウンの旧友でありローラ・ニーロなどとも競演していますが、主な活動がフュージョンやAOR方面であったため、ロック・ファンにはほぼ忘れ去られた存在ですよね。
ただ71年のデビュー作である本作は唯一の例外で、ヴァイオリンやフルートを含むアコースティック・サウンドをベースにした幽玄で神秘的なアシッド・フォークを披露しており、「酩酊したギルバート・オサリバン」といった趣きのジミー・スフィーリスの歌声と見事にマッチしています！
米国ではありえないファンタジックなジャケットも、木蔭でハンモックに揺られて夢を見ているような寛ぎを覚えるサウンドを表しています。
唯一の難点は「この1曲」というインパクトの残る曲がないところですが、オリエンタルな雰囲気の漂う曲やケルトを思わせる曲があったるとクオリティが高いので聴いていて飽きることはありません。
個人的に印象に残る曲について感想を述べておきます。
A-2「For Roach」が生ギターをメインにしっとりとしたバックが付き、夢遊病者の寝言のようなヴォーカルが印象的なアシッド・フォークで、後半のストリングスの使用も効果的です。
A-3「Monte Luna」もA-2同様に浮遊感の漂うアコースティック・サウンドをバックに水面を漂う木の葉のような極上のアシッド・フォークです。
A-5「I Am The Mercury」は生ギターとヴァイオリンをバックにつぶやくように歌われ静かな曲で、事前に知識のない当店のお客様がこの曲だけ聴いたらならアイルランドかスコットランドのSSWの曲だと信じて疑わないことでしょう。
B-3「Seven Virgins」は本作では唯一のロックンロール・タイプの曲でピアノとヴァイオリンが絶妙、このタイプの曲が3曲ほど収録されていたら本作の評価は大きく変わっていたんじゃないかな？
【収録曲】
A-1. The Nest 4:00
A-2. For Roach 2:45
A-3. Monte Luna 3:01
A-4. Seeds Of Spring 3:52
A-5. I Am The Mercury 4:58
B-1. Long Way Down 4:36
B-2. Let It Flow 3:20
B-3. Seven Virgins 2:56
B-4. Come Back 4:30
B-5. Esmaria 5:48
【参加ミュージシャン】
Jimmie Spheeris Guitar, Keyboards, Piano, Primary Artist, Vocals
Lee Calvin Nicoli Bass, Flute, Guitar, Vocals, Vocals (Background)
David Campbell Conductor, Strings, Viola, Violin
David Harowitz Keyboards, Piano
Emile Latimer Conductor, Congas
Bill LaVornia Drums
Geoff Levin Guitar
Buddy Salzman Drums