*** LP ： USA / 84 (80) / Gramavision / 18-7302-1 ***
■　コンディション　■
A / A
ジャケットはリングウエアや角打ち、抜けもなく、中古としては申し分のないコンディションです。
盤面にはひげや気になる擦れもなく、中古としては申し分のないコンディションです。
オリジナルは自主制作で激レア、これは84年の再発ですがかなりレアです。

78年にポップなデビュー・アルバムを残しているローラ・アランが80年に録音した2ndは、作風ががらりと変わり、「ニューエイジ」的なアンビエントな世界です。
60年代後半にサン・フランシスコで育ち、ローラ・アランは9才の時からでフォーク・グラブで演奏していたという早熟ぶりで、デヴィッド・クロスビーの弟イーサンと友達だった事から18才の時にデヴィッド・クロスビーの大傑作ソロ・アルバム『If I Could Only Remember My Name』(71年)参加し、内ジャケットにも可憐な笑顔が載っています。
その縁もあってかジャクソン・ブラウンやジョニ・ミッチェルとも知り合い、西海岸のクラブ・サーキットでSSWそしてセッション・シンガーとしてキャリアを積んでいたそうです。
78年の遅すぎたデビュー作ではギターのワディ・ワクテル以外は、ほとんどスティーリー・ダンのアルバムと同じメンバーで録音され、透明感のあるキュートな歌声で、ヴァレリー・カーターよりもSSW色がくっきりと浮き上がった傑作でした。
2年後の本作ではガラリとスタイルを変え、80年に自主制作制で発表した鬼レア盤です。
これは84年の再発ですが、90年代後半にクラブ系にも眼を付けられたとのことで、今ではあまり見かけなくなりました。
デビュー作では透明感ある歌声を披露している女性SSWのローラ・アランですが、チターという小さなハープの名手でもあります。
本作はそのチターを中心にした演奏の心洗わる美しいアシッド・フォーク、もしくは桃源郷ニューエイジ（じゃなきゃ「アンビエント」）と言ってもいいでしょう。
「ニューエイジ」にしても「「アンビエント」にしてもルーツは60年代サイケにあるわけで、60年代後半にサン・フランシスコで育ったローラ・アランが本作を発表したのは必然といえます。
「ニューエイジ」や「「アンビエント」にありがちな、「無機質」な感覚はなくアルバム全体に「温もり」があります。
一応A面3曲、B面1曲というクレジットになっていますが、A面も1曲といってよくよっぽど集中していないと曲が変わったことにも気付かないでしょう。
A面の大まかな流れは、静かなチターの演奏に始まってスキャット風のローラ・アランのヴォーカルの上をフルートが舞うように流れては消えていき、リンダ・パーハックスを初めて聴いた時の記憶が甦る、豊穣な自然と柔らかなスピリチュアル感覚をブレンドしたようなトロピカルなアシッド・フォークのパートを挟み、チターとフルートや控え目すぎるほどのシンセ他のメディテーショナルな演奏の後、スキャットで終わります。
B面にはフルートでポール・ホーン不参加ですがシンセサイザーがカバーしている大曲で、A面と似たような感覚ですが、スキャット風のローラ・アランのヴォーカルはこちらの方が堪能できます。
暖かな光に溢れたサウンドは春先から初夏にかけて、ポカポカと暖かい午後にビールでも飲んでいると眠りに誘われる「誘眠音楽」の極北です。
久し振りに堪能しましたが、国は違うがロック色を薄めたジェイド・ウォーリアーといった趣きで、「正統派サイケ」の流れを汲む素晴らしいアルバムであることを再認識しました。
ジャケット表裏ともに、ローラ・アランのアップが実に美しく、女性ジャケ・マニアも必携ですよ。
身心共に癒される名盤です！
【収録曲】
A1 As I Am 10:20
A2 Waterfall 7:32
A3 Nicasio 2:14
B1 Passage 19:11
【クレジット】
Zither, Vocals ? Laura Allan
Bells ? Kent Middleton
Flute [Alto, Bass, C-Flute] ? Paul Horn
Lyricon ? Dallas Smith
Synthesizer ? Geoffrey Chandler