*** LP ： UK / Late 80’s (72) / Warlock / SDL 6 ***
■　コンディション　■
A /A
ジャケットは角打ちやリングウエアのない、中古としては申し分のないコンディションです（一見したところ薄いリングウエアがあるように見えますが、オリジナル盤のコンディションによるものです）。
盤面にはひげや気になる擦れはなく、中古としては申し分のないコンディションです。

ディープ・パープルのイアン・ギランに見出された平均年齢20歳前後の若手5人組のエルサレムが72年にDERAMに残した唯一の作品です。
80年代末に出回ったリプロですが、アルバム未収録のシングル曲を追加しています。
イアン・ギランが見初めたにもかかわらず、「シンガーの力量不足」を指摘されますが、ガムシャラに歌う姿は｢断末魔の叫び声｣のようで、本作のダークネスさには相性がいいと思います。
個人的には、ディープ・パープルよりもブラック・サバスを思い切りB級にしたような印象で、時々無性に聴きたくなるアルバムです。
ファズの効いたギター・サウンドと若さ溢れるアグレッシヴなサウンドは後のNWOBHMバンドにも通ずる疾走感やラフなパワーが漲っています。
以下、簡単な印象です。
A-1「Frustration」はテンポの速い攻撃的な曲で、恥ずかしくなるほどリフを繰り返すガムシャラ感はハード・ロックの基本でしょう。
A-2「Hooded Eagle」の構築美としつこいツイン・リード・ギターの絡みは大好きです。
A-3「I See The Light」は60年代後半のブルーズ・ロックを強引に70年代ハード・ロックにアレンジしちゃった若気の至りが微笑ましい限りで、リズムに当時趨勢を極めていたグラム・ロックの影響を感じちゃうんだよね。
A-4「Murderer's Lament」はヘヴィーななイントロで始りますが、転調を繰り返すムチャな展開なのですが、このヴォーカリストはもうちょっとフォーク調の楽曲を歌っていたら酷評はされなかったんじゃなかろうか？
A-5「When The Wolf Sits」はツイン・リード・ギターを前面に打ち出した、後のメタルやNWOBHMに通ずるハードな曲です。
ここまでのA面全体の流れは、ダークで起伏に富んでいて、結構好きです。
B面もA面に近い感触なのですが、曲調は少々ヴァラエティーに富んでいます。
B-1「Midnight Steamer」はちょっとポップなハード・ロックで、あえて言えば1番ディープ・パープルに近いかも……
B-2「Primitive Man」は、ちょっとプログレっぽくはあるもののドラマチックかつオカルト的なハード・ロックで、この路線でアルバムをまとめていたら違った評価を得ていたのでは？
B-3「Beyond The Grave」は非常に面白く、トラッド調のイントロから強引にクラシカルな曲調に転調して呪術的で攻撃的な演奏を繰り広げています。
B-4「She Came Like A Bat From Hell」はポップな曲調とファズ・ギターが溶け合った曲で、シングル・カットしたらそれなりにヒットしたのではないだろうか。
アルバム未収録のシングル曲B-5「Kamakazi Moth」も佳曲で、馴染みやすいメロディーと強引なファズのミスマッチが最高に楽しいです。
70年代前半にしか生まれえなかった、黄金のハード・ロック！
近隣の迷惑など顧みず爆音で聴いたら、痛快・痛快！
【収録曲】
A-1 Frustration
A-2 Hooded Eagle
A-3 I See The Light
A-4 Murderer's Lament
A-5 When The Wolf Sits
B-1 Midnight Steamer
B-2 Primitive Man
B-3 Beyond The Grave
B-4 She Came Like A Bat From Hell
B-5 Kamakazi Moth (Non-LP Single Track)
【参加ミュージシャン】
Paul Dean: Bass
Ray Sparrow: Drums
Bill Hinde: Guitar
Bob Cooke: Guitar
Lynden Williams: Vocals