*** LP ： UK / 84 / Equinox / EQRLP 001 ***
■　コンディション　■
A- / A
SOC ; 裏ジャケット右上に2cm×3cmほどの白いシールが貼ってあります。
三辺に数ミリの皺が何本かあるので「A-」にしましたが、それ以外のダメージはなく「A」寄りのものです。
盤面にはひげが数本あって使用感があるので「A-」にしましたが擦れなどはなく、聴いた限りノイズは拾いませんでした（ヘッドホーンで聴くとプチノイズを拾うかもしれません）。
見開きジャケットの内側に歌詞やデータが載っています。
マトリクスは枝番なしの【A1 // B1】。

ソルスティス（Solstice）の84年のデビュー作は、プログレ不毛の時代に自主制作のデビューのため一部プログレ・ファンにしか注目されず、しかも日本ではシンフォニック扱いされた悲運のアルバムです。
プロデュースに当たったナイジェル・マズリン・ジョーンズ（Nigel Mazlyn Jones）がコーンウオールで主催する「Isle Of Light」スタジオでの録音です。
というわけで最初に、ナイジェル・マズリン・ジョーンズの略歴を知れば、本作を単純にシンフォニックに括った当時のプログレ・ファンの渇望指数も理解できると思うので、ナイジェルによる英国アシッド・フォークの至宝をご参照ください。
https://www.disk-market.com/?pid=40511322
ナイジェル・マズリン・ジョーンズの略歴からも想像するに難くないと思いますが、根底に流れているのは遡ればヒッピーイズムに辿り着くニュー・エイジ思想で、本作にも見事に反映されています。
本作を一言でいえば、「ルネサンスのアニー・ハズラムやイエス（YES）のジョン・アンダーソンを思わせるサンディー・レイ（Sandy Leigh）の爽やかなハイトーン・ヴォーカルとヴァイオリンを軸にした、メロディアスなフュージョン、ポップスからニュー・エイジ風味のインストゥルメンタルまで盛りだくさんの内容」ということになるのでしょうが、逆説的にはココがプログレという窮屈な世界に押し込めてしまった悲運でもありますね。
確かに、インストゥルメンタルにおいてはプログレらしい変拍子を交えた巧みなアンサンブルを披露しており、イエスにフロント・ヴォーカルもう一人女性のにアニー・ハズラムを加わえたような感触ですが、より印象的なのは「爽やかなアコースティック・サウンドの質感と清潔なファンタジーなイメージ」なのです。
肝心なのは、ナイジェル・マズリン・ジョーンズが、プロヂュースを含めて全面サポートということでしょう。
曲の主題を自然や平和や愛といった言葉に求めるニュー・エイジ的ですし、土着的なフォークロアの香りも濃厚に漂わせてるのはかなり異色です。
【収録曲と簡易コメント】
A-1「Peace」（6:30）は、ハイトーン・ヴォイスと天上で鳴り響くようなヴァイオリンと伸びやかなギターが美しい、ミドル・テンポのオプティミスティックな楽曲。
A-2「Earthsong」（6:38）は、夢見るような美しさの中にな翳りが浮かび上がってくるメランコリックでスピリチュアルな楽曲。
A-3「Sunrise」（4:07）は、ヴァイオリンがフィーチュアされたケルト的エキゾチズムが心に染みる楽曲。
A-4「Return of Spring」（4:53）は、華やかなインストゥルメンタルでアコースティック・ギターとヴァイオリンのジャジーで官能的な演奏が素晴らしい。
B-1「Cheyenne」（5:59）は、インディアンのチャントのような呪術的バラード。
B-2「Brave New World」（8:46）は、ファンタジックで牧歌的シンフォニック・ロック。
B-3「Find Yourself」（6:03）は、メロディーの美しい、夕暮れ時に聴きたくなるちょっとポップなバラード。
【参加メンバー】
Andy Glass guitar, backing vocals
Marc Elton violins, backing vocals, keyboards
Mark Hawkins bass, bass pedal
Martin Wright drums, percussion
Sandy Leigh lead vocals