*** LP ： USA / 71 / Warner Bros. / WS 1946 ***
■　コンディション　■
B+ / A-
SPSE ; ジャケットの底が10cm、背が2cmほど割れています（底は綺麗に割れているので、ある程度の修復は可能でしょう）。
RW ; 表ジャケットに薄いリングウエアがあります。
TOC-I ; 表ジャケット右上に1cm×1.5cmほどのシールの剥し跡があります（破れはなく、微かに変色しているだけです）。
ジャケットは「SPSE」があるので「B+」にしましたが、限りなく「A-」に近いコンディションです。
プロモ白レーベルの盤面にはひげも気になる擦れのなく、中古としては申し分のないコンディションです。

元ジャスティン（Justine）のオリジナル歌姫なのに唯一作（【ラビリンス6055】）ではジャケットに写っていないという不当な扱いを受けたローリー・スタイヴァース（Laurie Styvers）の71年のソロ・デビュー作です。
ジャケット違いの英国盤も出ていますがそちらは72年の発表なので、71年発表のこの米国盤がオリジナルということになるのでしょう。
アメリカ生まれのローリーは渡英して68年にジャスティンに加入、69年には米レーベルのDot Recordsにシングルを吹き込んでいるそうです。
その後ジャスティンは、やはりアメリカ出身のベスリン・ベイツ（Bethlyn Bates）と英国育ちのヴァレリー・コープ（Valerie Cope）を加入させ、唯一のアルバムのジャケットに写っているのはこの二人だということです。
なのにベスリンとヴァレリーはとっとと脱退し、けなげなローリーは一人頑張ったのですがジャスティンは解散……ですが、玄人筋から評価が高かったようで、ソロを2枚残すことになりました。
以上のように米国出身のローリー・スタイヴァースですが、元ジャスティン（Justine）ですし、当店的な括りとしては便宜的に「英国女性SSW」とします。
さて、表ジャケットで頬杖ついた髪の長い少女、ローリー・スタイヴァースがジャスティン解散後の20歳のときに残したソロ・デビュー作で、全曲が彼女自身の作詞作曲による、捨て曲なしの優れた女性SSWアルバムで、英米問わず女性SSWファンには無条件で受け入れていただけるアルバムでしょう。
ちょっとポップな曲ではキャロル・キングを、ちょっと内省的な曲ではジョニ・ミッチェルを、アコースティク主体の曲ではジュディ・シルを、ノスタルジックな曲ではマリア・マルダーを、アシッド・フォーク調の曲ではシェラ・マクドナルドを、ソウルからの影響を感じさせられる曲ではエスラ・モホークを……と当時の女性SSWのあらゆる方向性を持ち合わせていて、全曲をローリー自身が書き下ろしているというのだからまとまりもあり、驚愕以外のなにものでもありません。
個人的にメチャクチャ弱いのはA5「Gemini Girl」とB1「Leo Loves You」でして、言葉では説明はできないのですが、こういった翳りと湿り気は当時の英国フォークの第一線で活躍していなかったら醸し出せないものでしょう。
重厚さとアシッド指数はちょっと低いのですが、個人的にはシェラ・マクドナルドの世界遺産的名盤『Stargazer』に通ずる質感を感じてなりません。
因みに、ラスト作となった2作目はこちらです。
https://www.disk-market.com/?pid=38167464
【収録曲】
A1 Beat The Reaper 3:32
A2 Imagine That The Lights Have Gone Out 3:26
A3 All I Ever Had 3:28
A4 Five Leaves Left 3:30
A5 Gemini Girl 4:23
A6 Pigeons 2:40
B1 Leo Loves You 3:39
B2 Seasonal Blues 4:09
B3 You Keep Coming Home In The Mornings 3:08
B4 Inside You 3:08
B5 Eat Your Cornflakes 3:08
B6 Open Your Window 3:15
Producer ? Hugh Murphy