*** LP ： UK / 69 / Middle Earth / MDLS 301 ***
■　コンディション　■
A- / A-
コーティングされたジャケットは、四辺やレコードに沿って宿命ともいえる薄い浮きが散見されますが、大きなものはありません。
表ジャケット右下に1cm四方、裏ジャケット左上に1cm×3cm以内の薄い染みがあります。
ジャケットの気になるダメージは上記程度で、抜けやリングウエアはありません。
盤面にはひげや気になる擦れはなく、中古としては申し分のないコンディションです。
マトリクスは【A1 / B1】。
PATENT NO.入り白インナーバッグ付属（破れなし）。

5枚のアルバムしか残していないミドル・アースに、ウッデン・オーが残した69年に残した唯一のアルバムです。
知らなかったのですが、変わったグループ名はテムーズ河沿いに建つシェイクスピア劇場「グローブ座」の別称だそうで、風変わりだが奥ゆかしいサウンドとジャケットが見事にマッチしていることを理解できました。
内容ですが、ウッドベースと管楽器、ハープを主体にアコースティック楽器ばかりで古楽調のインストを奏でるアルバムなのですが、演奏者全員が生真面目そうな中年男性で優美さを醸し出しているのに、アシッド臭を全体に漂わせているストレンジなアルバムなのです。
リコーダーが雲雀のように飛び回る様とどっしりと大地を支えるようなベースの対比が全編に通底しており、無伴奏アシッド・フォーク、バロック式のメドレー、緊張感のあるジャズ的即興、まどろみの牧歌的演奏、都会的喧騒など、素朴なんだか実験的なんだか分からない奇妙なブレンドが施されています。
つまり、伝統的な古楽なのか、プログレッシブ・ジャズなのか、アシッド・フォークなのかまったく区別の付かないところが、本作の焦点を呆けさせているところでしょうが、「古楽を機軸としたインストのペンタングル」と捉えれば、当店のお客様にはご理解いただけると思います。
特に印象に残る曲について、コメントしておきます。
A-4「Dance Tune」はバロック音楽のようなメロディーをジャズ的即興で演奏しており、本作のボトムを支えるベースが素晴らしい。
A-7「Concerto」はバッハの曲ですがクラシックのような荘厳さはなく、サロンで午後の紅茶を楽しみながら聴いていたら眠くなりそうな、抜群のアシッド・クラシカル・ジャズ（なんじゃ、そりゃ？）です。
クレジットを見れば分かりますが、A面は「予備知識」、B面ではA面をベースによりストレンジな演奏を繰り広げています。
B-1「Maypole」ので出しのベースにまず痺れ、2つのレコーダーがツイン・ギターのように絡み合い螺旋状に上昇していくような感覚を覚えさせてくれます。
B-3「Sweet-Bedded」は穏やかなチャールス・ミンガスのようなドッシリトしたジャズ的アプローチなのですが、里山を散歩しているような牧歌的な雰囲気に満ちています。
ん〜……困った。
私の音楽的語彙では、本作を的確に表現できません。
とにかく、英国フォーク、アシッド・フォーク、ジャズ、クラシックで「ちょっと変」なものにはクスリと笑える方には聴いていただきたいのです。
ロック・ファンにはお勧めしませんが、上記の音楽好きなら、最初は鼻で笑っていても、気付いたら引き込まれていること請け合いの「中毒性」の高いアルバムです。
【参加メンバー】
James Harhpham ; Recorder
Christopher Taylor ; Recorder
Arthur Watts ; String, Electric Bass
Hugo D’Alton ; Mandolin
David Snell ; Harp
【収録曲】
Side A:The Lesson
A-1. Toye Tune
A-2. Pipe Tune
A-3. Sad Tune
A-4. Dance Tune
A-5. Sick Tune
A-6. Walking Tune
A-7. Concerto (J.S. Bach, arr. Harpham)
Side B:Lover's Progress
B-1. Maypole
B-2. Overture
B-3. Sweet-Bedded
B-4. Arise
B-5. Fayne Would
B-6. It Was
B-7. Away