*** 2LP ： Canada / 79 / True North / TJP-TN38 (2LP) ***
■　コンディション　■
B / A-
RW ; ジャケット表裏にリングウエアがあります。
SPSE ; 見開きジャケットの取り出し口上部に3cmほどの割れがあります。
四角に角打ちがあり、最も大きい右上は2cm×3cm以内に皺が寄っています。
盤面にひげはないのですが、薄い紙擦れが散見され、時折チリノイズを拾ったので「A-」の評価にしました。

カナダを代表するSSW、マレイ・マクロクランが79年に残した入手最難関アルバムです。
というのも、発表は地元カナダのみ、しかもプロモ・オンリーの2枚組というヴォリュームのライヴ盤ときちゃ、ファン泣かせのアルバムですよね（私も存在は知っていましたが、現物は初めて手にしました）。
クレジットがないので詳細は不明ですが、前年発表の『Whispering Rain』ツアーの実況録音盤のようで、更にプロデュースにヴァンクーヴァーのCBSのFrank Gigliottiがあたっているので「79年5月11日」の可能性が高いです（内ジャケットにツアー・スケジュールが記載されています）。
アルバム発売のツアーのため『Whispering Rain』収録曲が中心になるのは仕方ないものの、そこは2枚組というヴォリュームということで初期の名曲も多数収録しています。
収録曲は1曲を除きオリジナルなのですが、唯一のカヴァーがウォーレン・ジボンの再デビュー作（76年）収録のB-4「Carmelita」なんだけど、レーベルのクレジットに「1972」となっているので気になって調べたら、マレイ・マクロクランは72年の2ndで早くも取り上げていたのですね！
ウォーレン・ジボンの才能にはジャクソン・ブラウンが気付いて再デビューさせたのは有名な話ですが、マレイ・マクロクランも72年の時点で感知していた事実にちょっと感動しちゃいました。
もう一つ……
どうでもいいことですが、以前から何となくマレイ・マクロクランには「英国SSWに通ずる翳りがあるな〜」と思っていたのですが、スコットランド生まれで5歳の時にカナダに移住したそうです。
カナダ育ちでも、家庭ではスコットランドの風習に則っていたのかな……事実、英国でも人気がありますしね。
演奏はマレイの弾き語りにベースとハーモニーがつくというシンプル極まりないものですが、これが実に素晴らしいのです。
徹底的に贅肉を削ぎ落とした演奏には迫り来るものがあり、D-1「You Can’t Win」などの9分を越える長い演奏にも引き込まれてしまいます。
演奏面ではかたるべきものはほとんどない、しかもたった2人による2枚組のライブ盤なのにここまで惹きこまれるということは楽曲の質が高く、マレイ・マクロクランの人柄が伝わってくるということなのでしょう。
トニー・コジネックやブルース・コバーンなどのカナダのSSWファンばかりか、英米のSSWファンにも無条件でお薦めです。
一期一会の激レア盤！
ジャケットは少々草臥れていますが、盤は綺麗です。
お見逃しなく。
【参加ミュージシャン】
Murray McLaughlan ; Vocals, Guitar, Piano, Harmonica
Dennis Pendrich ; Bass, Harmony
【収録曲】
A-1. Billy McDaniels (5:06) 1972
A-2. Down By The Henry Moore (5:15) 1974
A-3. On The Boulevard (4:40) 1976
A-4. Exiles (6:53) 1978
B-1. What Would Bogie Do? (3:53) 1978
B-2. Train Song (7:20) 1976
B-3. Nassau Town (4:30) 1978
B-4. Carmelita (4:51) Wriiten by Warren Zevon 1972
B-5. Child's Song (4:44) 1978
C-1. Somebody's Long Lonely Night (4:36) 1978
C-2. Farmer's Song (3:21) 1972
C-3. Hard Rock Town (5:00) 1977
C-4. Highway One (6:06) 1978
C-5. Whispering Rain (3:52) 1978
C-6. Honky Ref (4:47) 1978
D-1. You Can’t Win (9:19) 1978
D-2. Maybe Tonight (9:26) 1974
D-3. Sweeping The Spotlight Away (5:17) 1974