*** LP ： UK / 75 / Anchor (ABC) / ANCL-2006 ***
■　コンディション　■
A- / A-
RW ; ジャケット表裏に薄いリングウエアがあります。
ジャケットの背上下に軽い角打ちがあり、上は1cm以内に皺が、下は3mmほどの剥がれがあります。
盤面にはひげが数本あるので「A-」にしましたが、も気になる擦れもなく、中古としては申し分のないコンディションです。
マトリクスは「A-1U // B-1U」。
歌詞の載ったの内袋を付属（破れなし）。

ジミー・ウエッブの妹であるスーザン・ウエッブの唯一作（75年）は優れた女性SSWアルバムであり、プレAORの側面も見せる秀作です。
本作発表までもジミー・ウェブのアルバムで美しく澄んだコーラスを聴かせてくれていました。
本作はジミー・ウェブがプロデュースとアレンジを担当していますが、曲の提供はしておらず、スティーブン・スティルス、ジョニ・ミッチェル、イアン・マシューズ、ジェシ・ウィンチェスター、フレッド・タケット等のカヴァーに、スーザン自身のオリジナルが3曲収録されています。
そのオリジナルが兄ジミーの血を感じるなかなかの出来栄えなんですね。
バックを支えるのはジェフ・ポーカロ、フレッド・タケット、ジェシ・エド・デイヴィス、ジム・ゴードン、アルバート・リー、ジョー・オズボーン、ジム・ケルトナー、ハーブ・ペダーソンといった西海岸のミュージシャン中心で、75年という時代からAOR以前のウエストコースト系女性SSWのサウンドです（ヴァレリー・カーターのアルバムに近いかな）。
そんな「ウエストコースト系」としか喩えようのないサウンドの上を、妖精が舞うような清楚でクリスタル・ヴォイスで、つわもの達の楽曲やオリジナルを歌っており、心の汚れが洗い流されるような清涼感があり、ここが本作の最大の魅力でしょう。
ウエストコースト系AORの極みであるボズ・スキャッグス『シルク・ディグリーズ』を思わせる軽快なA-1に始まり、しっとりとした美しいバラードA-2、ライト・スワンプ感覚なジェシ・ウインチェスターのカヴァーA-3、スーザンの声にばっちりマッチするジョニ・ミッチェルのカヴァーA-4と続き、途中ロック色を強めた時期のリンダ・ロンシュタットみたいな曲も含みつつ、彼女のためにあるような愛らしい曲のラストB-6で幕を閉じる構成も実に見事です。
スーザンの透明な声を生かしたコーラス・ハーモニーの妙が、ジミー・ウエッブの計算されたアレンジで、お洒落なバーや、これからの季節に海辺で涼風に夕陽を眺めながらBGMで流れていたらたまらん、最高に耳障りのいいアルバムになっています。
AORファンには知られている1枚ですが、探すとなると意外に見つからないアルバムです。
珍しいUK盤でどうぞ。
【主な参加ミュージシャン】
Susan Webb, Gib Guilbeau, Albert Lee, Herb Pedersen, Jesse Ed Davis, Dean Parks, Jimmy Webb, Fred Tackett, Jim Gordon, Jim Keltner, Jeff Porcaro, Joe Osborn, Jay Graydon, Colin Cameron Clydie King and more.
【収録曲】
A-1. Helplessly Hoping (S. Stills) 3:00
A-2. Tragedy (Nelson/Burch) 2:16
A-3. Isn't That So? (J. Winchester) 3:19
A-4. A Case Of You (J. Mitchell) 4:09
A-5. Fingers (S. Webb) 5:21
B-1. Tommy And The Rah Rahs (S. Webb/P. Skylor) 3:34
B-2. Same Old Man (I. Matthews/A. Roberts/D. Richards) 1:53
B-3. For You (S. Webb) 3:32
B-4. Dance To The Radio (F. Tackett) 3:23
B-5. If I Were A Sailor (P. Skylor) 2:55
B-6. Bye-Bye Pretty Baby (J. Gardner/S. Hamilton) 2:52