*** LP ： Japan / 73 / ビクター音楽産業 (RCA) / RCA-6123 ***
■　コンディション　■
A- / A
ジャケットは背に沿って1cmほどの陽焼けと極軽い角打ちがあるので、「A-」にしました。
盤面にはひげも気になる擦れもなく、中古としては申し分のないコンディションです。
帯は付いていませんが、ライナーは付属しています。

ロバート・フリップがプロデュースしたキース・ティッペット名義の1stソロ（72年録音）です。
他のメンバーは、ジュリー・ティペッツ、ロイ・バビントン、キース・ベイリー、フランク・ペリーで、ほぼ同じメンバーでオヴァリー・ロッジへと移行していくことになります。
電気楽器は一切使用されておらず、清らかな美しさと荒々しさに満ちた完全な即興演奏の傑作です。
本作における緊張感、静と動の対比を際立たせた音響は、キング・クリムゾンの『Islands』や『Lark's Tongues In Aspic』とそっくりで、この時期にロバート・フリップがキース・ティッペットから大きな影響を受けていたかが窺い知れます。
美しいピアノ・トリオ・ナンバーA-1「Song」に始まり、ロイ・バビントンのアルコによるベースと東洋的な金属パーカッションの上をジュリー・ティペッツがギターを掻き鳴らしながらフリー・ヴォイシングを披露するA-2「Dance」、本作の中ではある意味典型的なフリー・ジャズであるA-3「Glimpse」の流れは、緊張感のある素晴らしい演奏で、キング・クリムゾンの『Islands』でもハリー･ミラーや『Lark's Tongues In Aspic』でのジェイミー・ミューアの演奏が好きな方にはたまらないでしょう。
憂いのあるベースのリフレインにピアノが被さり、ジュリー・ティペッツのソフトなヴォイシングが美しいB-1「Blues I」から、ピアノの疾走やリコーダーが大自然の優しさと厳しさを視覚化させてくれるスケールの大きなB-2「Woodcut」、そしてジュリー・ティペッツの奏でるマンドリン！が呪術的なB-3「Blues II」で終わるB面は、輪廻転生を音像化したように感じられ、何故か映画『ガイア・シンフォニー』を思い出しました。
非常に聴き易いアルバムですので、フリー・ジャズや完全即興が苦手な方も、一聴の価値がある大名盤です。
両面とも3曲の組曲になっていて、曲間の切れ目はありません（A面は18：46、B面は19：50）。
【収録曲と参加ミュージシャン】
A-1. Song ; Keith Tippett - Piano Roy Babbington - Bass Keith Bailey ? Percussion
A-2. Dance ; Keith Tippett - Piano Frank Perry - Percussion Julie Tippetts - Guitar / Voice Roy Babbington ? Bass
A-3. Glimpse ; Keith Tippett - Piano Roy Babbington - Bass Frank Perry ? Percussion
B-1. Blues I ; Keith Tippett - Piano Roy Babbington - Bass Julie Tippetts - Voice / Guitar
B-2. Woodcut ; Keith Tippett - Piano Roy Babbington - Bass Frank Perry - Percussion Julie Tippetts - Recorder / Voice
B-3. Blues II ; Julie Tippetts - Mandolin Keith Tippett - Piano Roy Babbington ? Bass
Producer Robert Fripp