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*** LP ： USA / 94 (69) / Drag City Revolution / DC49 ***
■　コンディション　■
A- / A
ジャケットは上部左右に軽い角打ちがあり皺が1本寄っているので「A-」にしましたが、それ以外のダメージはありません。
盤面にはひげも気になる擦れもなく、中古としては申し分のないコンディションです。

レッド・クレイオラ（Red Crayora）の中心メンバーであるメイヨ・トンプソン（Mayo Thompson）が69年に発表した唯一のソロで、オリジナルは古くからレア・アイテムとして知られていますね。
メイヨ・トンプソンがカルト・ヒーローとして崇められているのは、自身の音楽活動はほぼ休止状態にあった80年代にもRoughTradeの創設者の1人としてThe Smithsなどを世に送り出したり、FeltやPrimal Screamのプロデュースを行なったり、デイヴィッド・トーマス率いるペル・ウブとの交流を経て加入したりと、60年代から90年代まで一貫して英米のインディーシーンにかかわり続けていることによるのでしょう。
さて、レッド・クレイオラではフリーフォームでアバンギャルドな面が多くを占めていましたが、本作はカントリーを基調とした牧歌的なアシッド・フォークになっています。
アシッド・フォークといっても一筋縄ではいくはずがなく、牧歌的といえども元ピンク・フロイドのリーダー、シド・バレットのソロのようにどこか歪んだ感覚を持ったアルバムです。
また、歌物中心になったおかげでメイヨ・トンプソンのヴォーカルを堪能でき、シド・バレット、キャプテン・ビーフハート、ピーター・アイヴァース、ディノ・ヴァレンティといったヴォーカルの威力だけで聴く者の心をかき乱し、トリップへ誘ってくれる圧倒的な求心力があります。
酔っ払ったようなメイヨ・トンプソンを支えるバックも、メイヨ以上に酔っ払っています。
でもその演奏はキッチリとまとまっていて、一聴したところでの出鱈目さはキャプテン・ビーフハート・アンド・マジック・バンドにも引けをとらないのですが、1年前までレッド・クレイオラを率いていたとは信じがたいほど穏やかなんだよね。
アシッドでほぼいかれていたシド・バレットや、天才ではあるが我侭だけだったキャプテン・ビーフハートと決定的に違うのは、メイヨ・トンプソンはレッド・クレイオラにしても本作にしても確信犯的に完成させ、違いの分かる者たちに大絶賛され続けたところでしょう。
限りなく自己欲求を具現化してはいたが、誰にも迷惑をかけず、リスペクトしてくれるパンク世代にも無償の愛を注ぐ……デビュー以来、一切のブレがない姿勢は見事です……ってか、本人は無理をせずに自然体でやってきただけなのでしょうね。
シド・バレットやキャプテン・ビーフハートとしばしば対比されますが、個人的にはむしろ「世俗に対して敵意を剥き出しにしていないトム・ウエイツ」、「酩酊しまくったガイ・クラーク」といった感じで、ストレンジなSSWファンにこそ聴いて欲しいかな。
一部ではカルト的に神格化された名盤ですが、より広く認知されるべき決定的な大名盤です。
【収録曲】
A-1 "The Lesson" - 2.39
A-2 "Oyster Thins" - 6.00
A-3 "Horses" - 3.09
A-4 "Dear Betty Baby" - 3.47
A-5"Venus in the Morning" - 2.30
B-1 "To You" - 2.50　　B-2 "Fortune" - 2.11
B-3 "Black Legs" - 3.50 (Mayo Thompson, Ricky Barthelme)
B-4 "Good Brisk Blues" - 3.07
B-5 "Around the Home" - 2.50　　B-6 "Worried, Worried" - 5.03
【クレジット】
Mayo Thompson - Vocals, Guitar, Bass, Production
Frank Davis - Production, Engineering, Fiddle Guitar, Timpani
Roger Romano - Production, Engineering, Percussion
Joe Duggan ? Piano
Mike Sumler - Slide Guitar, Bass, Tenor Saxophone
Le Anne Romano - Baritone Sax
Chuck Conway - Drums, Bongos, Percussion
Jimi Newhouse ? Drums
Carson Graham ? Drums
The La Las - Backing Vocals
The Whoaback Singers - Backing Vocals

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