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*** LP ： UK / 2008 (70) / Sunbeam / SBR2LP5057 (2LP) ***
■　コンディション　■
A / A
ジャケット、盤面とも一切のダメージのない、限りなく「新品同様」に近いコンディションです。
今や入手困難なオリジナルはシングル・ジャケットでしたがこの再発は見開きジャケットで、印象的な表ジャケットの別ヴァージョンの写真やメンバーの写真が載っています。
さらに12ページのブックレットを付属していて、メンバーの写真やジャケ写の別ヴァージョン、詳細なライナーや当時の雑誌記事のスクラップ、69-70年の詳細な活動記録などが載っており、資料性がきわめて高いです。
No.入りの限定1000枚の再発で、これは裏ジャケット右上に「900」と印刷されています。
メンバー公認の再発盤で、亡くなったドラマーのUnwin Brownに捧げられています。

ヒプノシスによるジャケットがあまりにも有名な英国の至宝トゥリーズの70年発表の2作目にしてラスト・アルバム。
オリジナルは古くからのプレミア価格ですが、2008年に限定1000枚で出た2枚組の公式復刻盤も瞬く間に市場から消えてしまいました。
なんと言っても、ヒプノシスによる「少女が庭で水をまく」ジャケットの別ヴァージョンが内ジャケットやブックレットに多数掲載されているのよね！
内容について、簡単に触れておきます。
【1枚目はオリジナル通りの収録なので、過去に当店で掲載した文をコピペしておきます】
フェアポート・タイプであることは間違いないのですが、セリア・ハンフリーズの美声のせいなのか、メロー・キャンドルにより近い印象を持っており、どこか違和感がありました
偶然読んだインタビューで一気に氷解……「フェアポートは聴いていたけど、同じくらいジェファーソンも好きだった」！フェアポートの最初の2枚はジェファーソンの影響大ですものね。
英国トラッドを基礎にしながらも、ロック的演奏とサイケやプログレ的なエッセンスを感じさせるのはこの時期の英国フォーク・ロックの大きな特徴でしょう。
紅一点のセリア・ハンフリーズの低い歌声は非常に魅力的でトラッド・フォークにぴったりで、ロック調の曲を歌うときのいなたさもまたおかし。
よくリチャード・トンプソンと比較されるバリー・クラークのギターは、RTよりも攻撃的で演奏の前面に出ています。
リズムもずっしりと重く、ボトムを支えています。
バンドに英国伝承歌を持ち込んだのはデヴィッド・コスタだそうで、60年代初頭にマーティン・カーシーと出会い、セシル・シャープ・ハウスにも出入りしていたとかいないとか。
つまりデビューの時点で、メンバーはプロ・ミュージシャンとしての資質を持ち合わせていたのですね。
本作の収録曲はオリジナルが3曲、残りの7曲はトラッドですが、アレンジが巧みなのか全く違和感はなく、長尺の曲も飽きることがありません。
オリジナル楽曲のクオリティーの高さ、トラッドのロック的解釈も申し分なく、全体の構成を含めて文句の付けようのないアルバムですが、個人的に粋な曲を2曲だけ……
A-1の「Soldiers Three」は、Steeleye Spanの究極的アルバム『Hark The Village Wait』の1曲目「A Calling On Song」を彷彿とされるハーモニー（セリアの低い声が実に魅力的）と重い演奏がたまりません。
収録曲で個人的に一番好きなのが船乗りの歌のA-4「Sally Free And Easy」で、Fairportの「A Sailor’s Life」に匹敵する名演だと確信しています（この曲がセリアのヴォーカル以外は一発録りだというのだから、彼らの演奏力の高さが窺い知れます）。
メンバーによると「本作はバンドが素晴らしいライヴを展開していた時期で、大きなイヴェントもいくつかこなしていた」とのこと……マネージメントの関係で解散を余儀なくされたのがつくづく惜しまれます。
ジャケットとくぐもったどこか陰鬱なサウンドは、まさに英国でしか生まれない大傑作アルバムです。
【目玉の2枚目のこと】
8曲収録されており7曲は「2007 remix」ヴァージョンなのですが、亡くなったドラマーのUnwin Brownに捧げられているメンバー公認の再発盤だということなのでしょう。
「リミックス」とはいっても、オリジナルの8トラックのマスター・テープをデジタル・マルチへ移行し、メンバーが中身の抜き差しを行なったものだそうで、本来『On The Shore』はこのようなサウンドで出したかった……ということなのでしょう。
デジタル時代になって氾濫している名盤の「デジタル・リマスター」や「リミックス」には辟易としていますが、本作においては正反対の印象です。
CDで聴いていてもデジタルな感はしないし、オリジナル盤では聴こえないギターの弦のこすれる音など響いたり、セリア・ハンフリーズの歌声が前に出ている（オリジナルは手放したので、確認しようがないのですが）様な気がしていたのは、あながち錯覚ではなかったようです。
さてさて……ここでまた疑問が……
この2枚目ですが、私所有の輸入Sony盤及び日本盤には「C-1〜D-3」は共通するもののD-4は未収録で、2曲別のがボーナスなのよね。
つまり珠玉の名曲D-4「Polly On The Shore」の「1970 demo version」は、これでしか聴けないということになるのか？
はっきり言えるのは、D-3ヴァージョンよりも遥かに素朴な演奏でヴォーカル・パートの割りふりも微妙に違う、エコーなどのスタジオ・ギミックもほとんど使用されておらず、個人的な趣味としては本作のD-4ヴァージョンが決定版かな><
この1曲の為に、CD買うのは癪だしな〜……
いずれにしても、限定1000枚のこのアナログも、海外ではオークション・アイテムになりつつあります。
オリジナルを所有の方も、ブックレット（私所有の輸入Sony盤及び日本盤よりも圧倒的に充実した内容です）と2枚目のために所有しておくことをお勧めします。
【収録曲】
A-1. Soldiers Three (Traditional)
A-2. Murdoch ( Boshell)
A-3. Streets Of Derry (Trad)
A-4. Sally Free And Easy (C. Tawny)
B-1. Fool (D. Costa)
B-2. Adam's Toon (A. Dela Halle)
B-3. Geordie (Trad)
B-4. While The Iron Is Hot (T. Bias Boshell)
B-5. Little Sadie (Trad)
B-6. Polly On The Shore (Trad)
C-1. Soldiers Three (2007 remix)
C-2. Murdoch (2007 remix)
C-3. Streets of Derry (2007 remix)
C-4. Fool (2007 remix)
D-1. Geordie (2007 remix)
D-2. Little Sadie (2007 remix)
D-3. Polly On The Shore (2007 remix)
D-4. Polly On The Shore (1970 demo version)
【参加メンバー】
Celia Humphris ; Vocal
Barry Clarke ; Lead Guitar and Dulcimer
David Costa ; Electric 12-String, Acoustic Guitar and Mandolin
Bias Boshell ; Bass, Vocals, and Acoustic 12-String
Unwin Brown ; Drums, Vocals and Tamborine
Tony Cox ; Bass

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